猫は星。

外と内を自由気ままに行き来する猫たちは、時折姿を消して家人を心配させるものらしい。あのざわざわとした胸騒ぎは思い出すだけで切なく落ち着かないものだ。

僕は小さい頃 猫の失踪は
星が消えるようなものだと思っていた
昼だって星は輝いている
ただ陽の光にさえぎられて
僕らには見えないだけだ
夜になれば当然のように
僕らの上にかえってくる
それと同じで
夜の闇に消えていった猫もまた
平然顔でひょっこり帰ってくるような
気がしてならなかった
それほど 僕の愛した猫たちは
やさしいまでにさりげなく
僕の視線から消えていった
内田善美「 空の色ににている 」より